写真館 二千年一夜


































































































竹田城跡の雲海
兵庫県和田山町
2008年4月13日

竹田城跡は、標高353,7mの古城山山頂に築かれた山城で、
当時の石垣がそのままの形で残っており石垣遺構としては全国屈指の規模を誇る。
良く晴れた朝に濃い霧が発生することがあり霧が竹田城跡を取り囲み、
まるで雲海に浮かぶように見える姿から天空の城と呼ばれている。

※2021年現在、春の登城時間は8時00分からとなっている
※2015年、木杭とロープで区切った観光ルートが整備されている


〜goodtimeの追想〜

〜4月12日〜
竹田城跡の桜と雲海という幻想的な光景は有名な場所で
数年前に挑戦したが生憎の天気で散々な結果に終わってしまっていた。
いつかリベンジしたいと思いつつなかなか機会が無かったが、
樽見の大桜が見頃を迎えているのと余部駅の桜が今年限りなので再び但馬方面に訪れる切っ掛けとなった。

5時20分、和田山に到着。
天気予報では晴れだったがどんよりした雲空に少々不安を感じる。
せっかく頑張ってきたのに曇り空では雲海が発生するところが朝の日差しすら見ることが出来ない。
そんな不安を抱えながら竹田城跡へ向かう。
本丸附近には前回来た時とは想像もつかないくらいカメラマンの人達。
30人以上はいただろうか。
もちろんベストポジションは既に押えられて人の入る隙間は無かった。
桜は綺麗に咲いていたが山桜はまだ早い。
殆どが染井吉野なので特に問題は無いが見る角度によっては山桜の未開花が目立つところもあった。
あと1週間遅ければ山桜が見頃を迎えているだろうが染井吉野は散り始めとなっている。
立雲峡の山桜もまだ5部咲きくらいだったので
狙い目としては立雲峡の山桜の開花状況に合わせて訪れるのが良さそうだ。
せっかく訪れたものの肝心の雲海は発生しておらず、軽く現地調査のみで機材の出番は無かった。
一応、予備日で明日も訪れる予定にしているが曇りの予報にあまり期待出来ない。


〜4月13日〜
鹿野祭りも終わり静かになった深夜0時頃、
車中泊していると寒さで目が覚めた。
4月だから暖かいと思っていたが山陰の夜を甘く見ていた。
明日は曇りの予報なのでのんびり行動しようともう一眠りしようと思いながら外を見ると妙に明るい。
澄切った空に半月が浮いていて今日は確か曇りのち雨の予報だったはず・・・
鳥取がこんなに天気が良いのであれば但馬方面も天気が良いかもしれないので、
仮眠を撤回して竹田城跡を目指して夜間移動に切り替えた。

道中、仮眠を取りながらも山陰道を走り5時00分、駐車場に到着。
来る途中、霧の姿が見えなかったので雲海は無理かもしれないが、
東の空が明るかったのでせめて竹田城跡に日が射す光景だけでも見ておきたいので、
頑張って急坂を登り本丸を目指す。
山頂は昨日よりカメラマンが少ないのは曇りという天気予報のせいだろうか。
本丸に登って廻りを見渡すと、驚くことに雲海が出ているではないか。
秋のような一面に埋め尽くされるような雲海ではないが、
豊岡方面にかなり霧が発生していたのでまったく気付かなかった。
眼下の街並みが見えるのでこれならもっと早く来ていれば夜景が入ったのに勿体無いことをした。
やはり諦めずに現地に行くことの大切さを改めて身に染みた。

カメラマン同士の隙間からお邪魔させてもらい機材をセット。
晴れているとは言っても雲も多いので綺麗な朝焼けにはならなかったが、
それでも想像していたより遥かに感動の景色で、
時間が経つにつれて雲海も気付けば南方面も広がっていた。
太陽が昇ると北方面から南方面に撮影を切替えて石垣が日差しに当たる姿を納める。
こちらは山桜が少しある程度で北側に比べると物足りなさがあるが、
竹田城跡の石垣は断然こちらの方が美しい。
ある程度、太陽が昇ると雲海に日差しが当たり、再び北側で撮影。

ここへ来るまでは半ば諦めていた雲海と桜と朝一番の日差しだったが、
まさか自分が描いていた景色が目の前に広がるとは思ってもみなかった。
まさに奇跡としか言いようがない景色であるが、
このような瞬間に出会えるからこそ風景撮影は面白い。

またいつかここで同じ景色に再会したい。と思いながら次の撮影地へ向かったが、
それから数年後、登城時間規制がかかり今日見た景色は現時点ではもう見ることが出来ない。





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