写真館 二千年一夜




































塩塚高原
徳島県山城町
2007年10月28日

徳島県三好市山城町と愛媛県四国中央市新宮町の境界に位置する標高1043mの塩塚峰に広がる高原。
近年まで地元農家に茅肥採取地として活用されていた。
春は野焼き、夏から秋にかけてはパラグライダー、キャンプ、ススキ、
夜遅くには満天の星空が観賞出来ることでも有名。
展望台からは四国山脈の山々や雲海を見ることが出来る。


〜goodtimeの追想〜

真亀山神社の奉納花火撮影を終えて1度家に戻り1時35分に出発。
瀬戸大橋を渡り国道32号線を走って四国を南下。
徳島と香川の県境附近で霧が発生して今日は確実に雲海が出ると確信しながら池田町に到着。
大歩危小歩危の入口手前を右折して国道319号線を走ると、
以前利用した賢見温泉があり、しばらく進むと塩塚高原キャンプ場の案内板があった。
そこから約10キロの山道をひたすら走るのだが、四国の山道らしい狭い道の中に、
突如現れる民家や小学校などの集落があるのだから驚かされる。
5時20分、キャンプ場に着いたものの展望台はどこになるのか大きな案内板を見ると
さらに上った所にあるようだが、辺りが暗くてよくわからず、そのまま駐車場で明るくなるのを待った。

30分でもいいから仮眠を取ろうと思ったら既に東の空からかぎろいが出ていたので、
結局、一睡もすることなく現地調査へと向かった。
駐車場から少し上がったところに展望台がありここを中心に構図を練る。
雲海は予想以上に発生しており標高1000mあるので展望台まで上昇する心配は無いが、
廻りの山も標高が高いため標高の高さが仇となりあまり絵にならない。
太陽が昇ってもどう構図を作れば良いのか目の前に広がる広大な雲海を前にシャッターが切れないでいた。
結局、軽くシャッターを切った後、展望台を断念して展望台先に続く尾根の山道を散策してみることにした。
時期的にカメラマンやキャンプ場の客とか訪れるメジャースポットかと思われたが、
1組の家族と1人のカメラマンがやってきただけ。
10キロの山道をかけて訪れる観光客もいなければカメラマンにとってあまり有名ではないのだろうか。

機材を背負って尾根を歩き、しばらくして後ろを振り返ってみると、
今まで何とも思わなかった光景が一転、ススキが朝日を浴びて真っ白に輝いており、
改めてススキは順光ではなく逆光が美しいのだと知った。
山々が薄っすら霞かかって水墨画とまではいかないがとても綺麗であり、
それを前景にススキをいれることで塩塚高原ならではの絵が完成した。
展望台が山頂かと思っていたが結局、展望台から尾根を20分程度歩いたところが山頂であった。
展望台にいた時は、どこが360度の大パノラマ?と思ったが山頂に来てそれが納得。
確かに素晴らしい光景で、一睡もしていないが眠気も疲れもどこかへ行ってしまう心地良さがあった。
廻りの山を見渡すとススキは見られないようだが塩塚高原と呼ばれる山だけ開拓か何かをしてススキが生えているのだろう。
実際、山頂附近から見下ろすと畑があったりする。
こんな贅沢な思いを1人占めしているのだから写真家ならではの特権である。
ところが急に風が強くなり冷たい風が吹き付け寒くなってきたので撤収。
贅沢な1人占めはあっという間に終了し、来た道を戻るのであった。





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