写真館 二千年一夜



















































































成羽愛宕大花火
岡山県成羽町
2006年7月29日

江戸時代より続く伝統花火。
今から約300年前、成羽藩主であった山崎義方が、火の神・江戸愛宕権現を領地に勧進し、
その祭典として花火を行うようになったのが始まり。
町の商工会では、明治維新以来すたれていた「流星奉行」を復活させ、
大仕掛花火「大銀滝」をはじめ、ここでしか見られない仕掛花火12基が夜空を彩る。
当日は、国指定重要無形民俗文化財になっている備中神楽も披露される。


〜goodtimeの追想〜

1年で最も花火が多く上がるのでは?というくらい花火大会が重複する7月最終土曜日。
近場でも多くの花火大会が開催されるが、その中から2年前のリベンジを果たすため成羽に決めた。
前回訪れた時に現場は大体把握しているが、早めに現地に着いてどのくらいの混雑なのか知っておきたかったのと、
そう何度も同じ場所に行けないので最高の場所で最高の作品を作りたい気持ちで気合が入っていた。
13時45分に成羽到着。
暑い炎天下の中、既にたくさんの車が止まっているかと思いきや、
まったく車も止まっていなければ誰一人として観覧客はおらず、
本当に花火大会が行われるのか!?というような静けさ。
有料席である土手下は開場が16時からなので誰もいないのは当然であり、
無料席である土手上は、地元の人達が早々とシートで場所取りしていた。
ちなみに仕掛け花火正面である土手上は有料席より遥かに高い特別有料席か招待席となっている。


有料席の土手下に座るつもりだったが、あまりに距離が近くて打ち上げが被りつきとなり、
まじかで仕掛けを楽しむ場所としては良いが撮影するにはあまり面白くない。
ましてや川上には仕掛けの点火用ケーブルがたくさん走っていて目の前に黒い線が入ってしまい、
下流側にも上流側にも高圧線があるので撮影場所は一気に狭められる。
思いっきり離れて総門橋をシルエットに撮る構図もあるが、これは最終手段として頭に入れておく。
そもそも成羽町は山奥の田舎街なので少し離れた所ならどこからでも花火は見れるので、
無理に仕掛けに拘らなければさほど悩むことは無いのだけど、
やっぱり成羽に来たからには仕掛けを撮らなければ成羽の花火を撮ったとは言えない。
仕掛けを見ようと思えば頭上高くに花火が開花。
どちらかを選ばなければならない究極の選択を木陰でイメージを練りながらしばらく考えることにした。

15時が近づいたところで有料席に並んだものの、やはり市山煙火の早打ちが撮りたい気持ちが押えられず、
最終的に有料席を断念して鶴見橋上流側、高圧線下の土手上に落ちついた。
風向きも上流から下流に流れて文句無しの良い条件だと来た当初は思っていたが、
次第に下流から上流へと変わり不利な条件となってしまった。
あと4時間で風向きが変わることを祈りたい。
16時00分、土手下の有料席が解放されあっという間に最前列は埋まっていった。
当初狙っていた鶴見橋下辺りはまだ空いていのを見るとちょっと心残り。
暑い1日を覚悟していたが、木陰にいると風が気持ちよくて思ったよりも過ごしやすかった。
夕方になると日差しも和らぐと同時に徐々に観覧客も増えて仕掛け花火正面である有料席はほぼ埋まった。
仕掛け花火も準備が整い、どんな仕掛け花火を見せてくれるのか楽しみだが、
鶴見橋上流からははっきりと見れないのが悲しい。
みんなそれを知っているのか上流側の有料席はいつまで経っても空いていたが、
大銀瀑ははっきり見れるし、型枠仕掛け1基は見れるのでそれだけでも楽しみ。
プログラムを見ると今年も12景に分かれて約2時間の内容。
型枠仕掛けの他にスターマインも仕掛けのプログラムとして組み込まれている。
ちなみにプログラムには尺玉が打ち上がるようになっているが、
これは「尺玉もどき」であり、辛うじて小高い山からチラッと筒が見えたが、せいぜい7号玉くらい。
2年前は、尺玉が上がるの!?と驚いたものだが、
冷静に考えると、近くに民家があり観覧席との距離からして尺玉が上げれる環境とは程遠い。
ただでさえ近い距離に小高い山からの打ち上げなので余計大きく感じるので、
打ち上がる花火が尺玉と言われても不思議ではないかもしれない。
18時00分、大きな雲がこちらへ来ると、二年前の夕立で仕掛けが点火されなかった悪夢が蘇ってくるが、
心配していた夕立も無く今年は無事に仕掛けが見れそうだ。
風向きは微妙だが風が強いのできっと上流へ吹き飛ばしてくれるに違いない。

ここで車の移動のアナウンスが流れ、どこか聞き覚えのあるナンバーだと思いきや自分の車が呼び出されている。
早めに来て適当に止めたのが悪かったようで、かなり上流まで移動させられた。
学校のグラウンドが臨時駐車場になっているが、早めに来れば土手も駐車出来る。
駐車料金は土手、グラウンド共に1000円と割高だが、
収容台数が5000台で満車になれば500万円。
有料席なども含めるとかなりの額になるが、云わば観覧客の殆どが協賛していることになり、
この資金が翌年の花火大会を継続されている。
高梁市と合併したのだから、市が協賛すれば駐車料金はもっと安くなりそうなものだが、
財政難で花火大会がが中止になる世の中、開催に向けて商工会が幾多の困難を乗り越えてきたに違いない。

20時00分、いよいよ花火大会が始まる。
プログラムによると10分間隔で仕掛け花火が披露され、次の仕掛けが点火されるまでの時間調整として単発が上がる。
主役は仕掛けだが尺玉もどきの単発も美しい。
仕掛け花火は大量の煙を出すので10分間の時間を空けて次の仕掛けに点火される。
その10分間を退屈させないために頭上高く花火が打ち上がり、10分後には煙は掃けた状態となる。
これは本当によく考えている演出だと思った。
仕掛け花火もただ型枠に火が灯るだけでなく、
鶴見橋上流側の人達にも楽しめるように自爆花火が開花したりされ、
最後は、下流側から怒涛のスターマインで1景が終わる。
この調子で2時間12景が進行されることとなる。
予想通り下流側の仕掛けは殆ど見れず、型物が動く仕掛けは会場大盛り上がり。
全国でも珍しいとい言われる動く仕掛け花火が成羽花火の特徴であり、
小さな型物が川の流れに乗って流されたり、小高い山から☆マークが流れたり、
珍しい仕掛けが次々と披露されていく。
こうなるとやはり正面である有料席の人達が羨ましいが、
写真を撮ると光跡にしかならないのでしっかり目に焼き付けて、上流側でも楽ませてもらった。
大銀瀑も例年だと煙であまり見ることが出来ないらしいが、
地元の人から「今年は今までで1番綺麗だ!」と絶賛しているくらい良い条件だったようで、
「2度と見れないかもしれないからしっかり撮れよ!」と激を貰う(笑)

途中、煙の停滞もあったが特にストレスも無く、最後は怒涛のスターマインの連打で幕を閉じる。
帰りの大渋滞は日付が変わらないと町内から出れないと言われていたが、
上流側の土手に止めたお蔭でスムーズに出ることが出来た。
混雑や渋滞で苦労すると言われた成羽の花火大会だが、
どんな花火大会でも早めの現地入りは重要なものであり、
渋滞とは縁の無い一日となり、日付が変わる前に家に着いた。





写真館 二千年一夜