写真館 二千年一夜





立野スイッチバック附近










































赤水ー立野






































原水駅

SLあそboy
熊本県阿蘇町
2005年8月20日






1988年、九州旅客鉄道が熊本駅〜宮地駅間を豊肥本線経由で運行される臨時快速列車。
国鉄50系客車をアメリカ西部開拓時代に活躍した客車風に改造した「ウエスタン風客車」を8620形蒸気機関車が牽引する。
運行時期は3月〜11月。
数日程度「SL人吉号」としても使用される。
2005年8月、惜しくも引退。その後、ディーゼル機関車が
牽引で運行されていたが同年末で終了。


〜goodtimeの追想〜

花火撮影の計画を練っている時に、SLあその引退ニュースを知った。
特にSLが大好きという程でもないのだけど、雄大な景色に走るSLを撮りたいと思い、
阿蘇に寄ったついでにSL撮影をしたことも数回あった。
今年は、10月に熊本へ行くのでもちろんSL撮影も考えていたが、まさか8月28日を持って引退とは。
そういう訳で急遽、SLあそboyとSL人吉号の撮影を兼ねて熊本遠征を計画した。

SLあそboyの引退ニュースを聞きつけ全国各地から鉄道SLファンが押し寄せて、
有名スポットでは70人くらいのカメラマンが押し寄せたとか!?
となると、当然現地には早く着いておかなければならないので、立野駅6時到着を目指して尾道を出発した。
仕事終わりの出発だけに休憩、仮眠をとりながら順調に遅れ、熊本ICを下りたのは午前6時。
道の駅「大津」で少し休憩を取り、7時00分に立野スイッチバック地点に到着した。
到着予定よりも遅れて混雑しているかと思ったが、現地には誰1人としていない。
天気予報では曇りもしくは雨になっていたが、
気持ちの良い朝の日差しが棚田に当たりキラキラ朝露が光って綺麗だった。
空気も美味しく景色も美しい。
そんな所にSLが走るのだから、鉄道ファンじゃなくても心惹かれる景色である。
SLあそboyがここを通過するのは11時50分頃。
まだまだ時間があるが、続々とやってくる鉄道ファンの会話を聞いているうちに時間が過ぎていった。
11時50分が近づけば近づくほど訪れるカメラマンの勢いは止まらない。
既に50人、いや100人以上いるんじゃないか?というような人数。
場所が狭いだけにギュウギュウ詰め。
後から来たカメラマンが前に入ろうとした時には先客カメラマンから罵声が飛び、
それは一般観覧者にも向けられ、ここは観覧する場所ではなくカメラマンだけのためのスペースと化していた。
11時41分、SLが立野駅に到着した。
黒い煙が黙々と上がり、汽笛がコダマして鳴り響く。
立野駅からバック走行で山を登る姿は、ちょっと不思議なものだったが、
スイッチバックは全国でもかなり珍しいので、その姿を撮るカメラマンもかなりいた。
そして11時50分過ぎ、たくさんのカメラマンに挨拶するかのように大きな汽笛を鳴らしながら
あっという間に掛け抜けて行った。
一瞬の出来事だったが、心にいつまでも残る感動があったような気がした。
SLという被写体は、特に好きという訳じゃないが、
まじかでSLが掛け抜けた瞬間、何とも言えない鳥肌が立った。

ダメ元で追っかけを試みて、いこいの村駅附近で待ち構えていたが、
天気が怪しくなり思うようなシャッタースピードが出ず、中途半端な絵になって敢え無く失敗に終わる。
上りは、赤水駅付近から狙うことにした。
上りと言えば、内牧付近から狙うのがパターンでもあるが、
煙が出ないのはSLが走っていてもどことなく寂しいので、煙が期待出来る出発駅付近に待機する予定にした。
昼食を食べている時、熊本県内大雨洪水注意報が発令していることを知り、
上りのSLどころか今晩の花火大会の開催が心配になってきた。
57号線を走っている時、赤い鉄橋が見えたので赤水駅から急遽、こちらへ変更。
天気予報は雨マークだったので、もちろん雨対策は万全ではあったが、
それでもやはり雨は降らないことを祈っている。
その祈りが午前中は届いたみたいだが、午後からは雨が止むことはなかった。
雨対策万全で機材セット完了。
いつもSLを斜め前から撮っているが、先客がいたのであえて正面から狙ってみることにした。
雨でシャッタースピードが出ないのでボケないことを祈る。
15時52分赤水発のSLが出発。
汽笛が近づいくると緊張感がピークに達し、SLが確認出来た瞬間、一気にシャッターを切った。
いつもながらあっという間にSLは黒煙を残して通過していった。

機材を片付けて今日の花火会場である益城町に向かうが、ひょっとしたら、どこかの駅で追いつけるかもしれないので、
これまたダメ元で追いかけてみることにした。
相変わらず57号線は混雑しているが、立野駅を過ぎるとスムーズに流れてきた。
所々、カメラマンの群れを確認したが、きっと撮影ポイントだったのだろう。
立野以降の上り停車駅は、撮影予定外だったのであまり把握していないが、
かすかに記憶に残っていたのが原水駅だった。
原水駅より上り停車駅となると熊本市街地に入ってしまうので何とか原水で間に合って欲しい。
15時40分、原水駅に到着。
カメラマンが数人居るということは、どうやら間に合ったようで早くも汽笛の音が聞こえてきた。
のんびり休憩をしている暇も無く三脚を立てらす時間も無い。
雨は相変わらず止まないので傘を差しながらの手持ち撮影で狙う。
原水駅は撮影ポイントじゃないのか、カメラマンは数人しかいなかったが、
逆に見物客が多かったので、思うような撮影は出来なかった。
それでも今日1日だけで4回も目の前でSLが通過したのは何とも言えない達成感と感動があった。






写真館 二千年一夜