写真館 二千年一夜






































































































































































































































































































































































































































吾川のひょうたん桜
〜早朝編〜
高知県吾川村
2005年4月9日






樹齢約五百年、樹高30m、根元廻り8m、県指定天然記念物にも指定されている桜の古木。
学名はウバヒガンですが、つぼみの形がひょうたんに似ていることからいつしか「ひょうたん桜」と呼ばれるようになった。
また、「ひょうたん桜」のある地区は元々「大藪」という字名でしたが、この桜にちなんで昭和33年に「桜」と改称されました。
桜の見ごろに合わせて地元の人達による売店、名物の桜ゼリー、手作り饅頭、特産のブンタンなどを販売しています。


〜goodtimeの追想〜

数年前から桜の咲く季節が近づく度に、ひょうたん桜を撮影候補地に挙げていたが、
開花時期が小浜の花火とブッキングするため毎年断念していた。
ところが、今年は何故か全国的に開花が遅く、ひょうたん桜も例年より1週間ほど開花が遅れ、4月第2週へと持ち越したのだ。
第1日曜日が過ぎた途端、極端に暖かくなり、西日本の桜は一気に目覚めたかのように開花してわずか3日で満開となった。
しかも吾川村のお隣の仁淀村のしだれ桜は、ひょうたん桜より開花が遅れるのだが、ひょうたん桜に合わせて一気に満開へ近づいた。
このチャンスを逃すまいと、ひょうたん桜と中越家のしだれ桜撮影計画が立ち上がった。
さて、吾川村までどうやって行こうか。

去年、高知県梼原町へ行った時は1時出発で4時に着いたので、
これを参考にして現地5時を目指して1時に家を出ようと思ったが、
最近、花粉症で寝つきが悪く、予定より30分早い0時30分に家を出発。
1時間ほどでしまなみ海道を渡り終点の今治ICを降りて南へ走る。
西条市から国道194号線をさらに南へ走って県境の峠超えて寒風山トンネルを潜れば高知県となる。
出発してから2時間で高知県!?
思ってたよりも楽に高知入りしたことに驚いてしまった。
194号線をひたすら下っていくと吾北村に入り、突き当たりを右へ曲がるとまた道の駅がある。
吾川村まで1時間もあれば着くのでちょっとここで仮眠を取ることにした。

吾川村に入ると、ひょうたん桜の案内板があり、それに沿って走っていく。
国道33号線から狭い山道を3キロくらい走る。
通常の3キロなら大したことはないが、狭い山道の3キロはかなり長く感じた。
上る、上る・・・さらに上る。
一体、どこまで上るんだ!?
しばらく上っていくと、やっと集落が開けてきた。
そして4時40分、順調にひょうたん桜に到着した。

5時30分、空が徐々に明るくなるにつれて、ひょうたん桜も姿が見えるようになってきた。
ちょうど昨日満開を向かえたので、まさに今が一番美しい時に念願のひょうたん桜と初対面。
幹には太いしめ縄を巻いて祭っており、横に1本大きな枝が伸びている姿はまるで神様そのものである。
それでも、ここ十数年で台風などで被災しているので、昔の姿に比べたら随分衰えているのかもしれない。
昔のひょうたん桜はどんな姿だったのだろうか。
早朝から十数名以上のカメラマンはいたが場所が場所だけに観光客の出足は遅く、
ニワトリの鳴き声が響く中、のんびり桜の周りを歩きながら構図を練っていく。
廻りが斜面となっているので、上から撮るか下から撮るかによって随分イメージが変わっていく。
山の斜面には芝桜を植えていて、まだ開花の途中だが綺麗なグラデーションとなっていた。
ここ数日暖かさを通り越して暑かったせいか霧が発生。
時間が経つにつれて晴れると思っていたが、
晴れるどころか次第と霧で真っ白となっていく。
雨が降れば面白いと思っていた風景が今目の前に現れていた。

時間は刻々と過ぎて6時を過ぎると続々とカメラマンが到着。
そろそろ機材をセットして撮影開始。
時間が経つにつれて霧の動きで風景が変わる。
時には向かいの山が水墨画のようになったり、
また時には、霧がひょうたん桜を包み込む。
太陽が昇る東の方角に山があるので太陽の当たるのは少し遅め。
朝の日差しが当たる一番美しい姿を誰もがみんな待ち構えている。
7時を廻ると観光客が続々と到着し、
綺麗に完備されている駐車場はあっという間に満車状態となっていた。
通常なら廻りの景色がはっきり見えるはずなのだが、
一向に晴れない霧のせいで、ますます霧が白く感じるようになった。
このまま晴れないのではないか!?
そんな不安が脳裏を過る。
他のカメラマンは諦めて仁淀村へ行くものも出てきた。
明日は雨なので日差しの当たる姿は今日しかチャンスが無いため、今が満開で最も美しい状態の中でで日差しが当たって欲しい。
そんな願いが果たして届くだろうか・・・

願いがひょうたん桜に届いたのか、8時になると霧は徐々に掃けて行き、東の山からゆっくりと太陽が昇って来た。
ひょうたん桜の頭に日が当たり、ゆっくりと全体に日が当たり出す。
まさに最高の瞬間を押さえようと、多くのカメラマンが発するシャッター音が鳴り響いた。
幹の廻りに近づこうとしている者がいれば、カメラマンから罵声が飛ぶのも有名地ならではだが、
改めて撮り手のマナーを考えさせられる。

気付けば、この時点でフィルム4本近く消耗していた。
空も霞かかった青空となり、春らしい気持ちの良い朝となった。
一通り撮影を終えた後、シャッターを押す手を休めて、
桜が作り出す空気を味わいながら、ひょうたん桜をじっくり眺めた。
機材を片付けて車に戻ってみると、狭く険しい山道が大渋滞となっていた。
この状態で来た道を下るのか!?と思ったら、帰りは専用のルートがあるとのこと。
次の目的地をどこにしようかと車を走らせているうちにドライブインがあったので、そこで遅い朝食にした。
10時00分、今日は暑い1日になりそうだ。








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