写真館 二千年一夜







































































































































































































高谷山の雲海
広島県三次市
2004年10月17日






四方を山々にかこまれ、三つの川が巴に織り成す三次盆地には、
秋から早春にかけて朝早くから川霧が立ちこめ、霧の海となることで有名。
三次市を一望出来る高谷山(標高500m)は特に雲海の展望所として有名で早朝から多くのカメラマンや観光客が訪れる。
標高が低いため、霧にスッポリ包まれることも度々で、綺麗な雲海が見れるのは運次第である。
雲海となるメカリズムは実は判明されていないが、
移動性高気圧に覆われた晴れの日の朝、昼と夜との温度差がある秋から冬にかけて雲海が現れる確立は高い。
近年、山道の整備で駐車場までアクセスが楽になったが、一部狭い道もある。
駐車場やトイレは完備しているものの、あまり綺麗とは言えない。
他に、岡田山、岩屋寺などからも展望することも出来る。



〜goodtimeの追想〜

ここ数日間、綺麗な空が広がり、昼と夜の温度差も大きく違うので絶好の雲海週間となった。
高谷山のWEBカメラで雲海状況もチェック出来るが土曜日の朝は霧で真っ白。
果たして日曜日は大丈夫なのだろうか。
例年通り、3時に出発しようと思っていたが、興奮のあまり2時に目が覚めたため2時30分に家を出る。
いつもなら甲山を過ぎたあたりから霧が出るのだがまだ霧はない。
気温は、少し高めの14度。
そのうち霧は出てくるだろうと思っていたが一向に霧が出ない。
去年もたしかそんなことがあり、結局、その日は雲海どころか霧すら出なかったため撮影にはならなかった。
昨日、あれだけ霧が出ていたのだから、三次に行くときっと霧が出ているに違いない。
そんな期待も虚しく三次の空は星が輝いていた。
そのまま引き返して帰ろうかとも思ったが、
せっかく来たのだから高谷山へ上ってせめて朝日だけでも拝むことにした。
5時00分過ぎから徐々に車がやってくる。
展望台から撮りたいなら5時までには来ておきたい。
それにしても三次の夜景が見えるほど霧が発生していないが
気温が急激に下がり始めたのか若干霧が出ているようだ。
そして車に戻り、5時30分頃に再び展望台に行ってみると、
驚くことに夜景が見えないくらい霧が発生しており雲海が出来上がっていた。
これほど短時間で雲海になるものだろうか!?
徐々に太陽が昇るにつれて日差しが雲海を射す。
この瞬間が堪らなく美しい。
今日はあえて言うなら短時間で発生した即席の雲海。
即席だったせいかいつもより少し低めの雲海で廻りの山々も頭が出て感じの良い景色となった。
霧の発生するメカニズムはわかっていても、雲海になるメカニズムはわからない。
昨日は高谷山を包み込んだ霧だったが、今日と昨日とでは一体何が違ってたんだろう。
温度、湿度、風向き・・・
雲海の面白いところは太陽が昇り切ったその後で、次から次へと変化していく霧の動きが面白い。
撮影を終える頃には大概、廻りは誰もいなくなっているのが何とも惜しいところだが、
この光景を独り占め出来るのはとても贅沢な時間だ。

そういえば撮影中に、廻りのカメラマンの会話を聞くと、望遠レンズで雲海と日の出を狙っているようだが、
「28mmとかは全然ダメだね〜」と、
あたかも28mmレンズを装着して撮影している自分に対して言われているような気がした。
写真は自由で決まりが無いところに自分らしさが現われると思う。
そういう意味ではフォトコンテストに出さないのも理由のうちの一つであり、
固定観念に捕らわれて、何を撮りたいか、どんな構図で撮りたいのかを明確にしなければ、
いつまで経っても自分の思い通りの作品は撮れない。






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