写真館 二千年一夜





















































































































































八幡湿原のカキツバタ
広島県芸北町
2003年6月8日





八幡湿原は、西中国山地国定公園にあって標高約800mの芸北町八幡地区一帯に広がっている。
西中国山地の中でも最も標高の高い盆地にあり、周囲は樹齢200年以上のブナ原生林におおわれた
臥龍山を始めとする1000mを越す山々に囲まれている。
年間降水量は2600mmを越え、中国地方で最も雨の多い地域で、
年間平均気温は10度、最も高い8月でも平均気温は23度だが、
現在まで観測された最高気温は34度、最低気温は−23.2度で、気温的には青森や盛岡市の平均気温に等しい。
雨が多いため盆地内の平坦地には湿地が多く特異な景観をなしている。

春は、臥龍山のブナの芽吹きから始まり、ノイバラ、タツナミソウ、ミヤマカタバミ、スミレ、イカリソウなどの
野草が高原の到るところで一斉に花開く。
ヤマザクラやソメイヨシノの開花は5月初旬で北海道や東北の開花時期とほぼ同じである。
気候風土から広島の北海道と言ってもよいほどである。

夏は、牧野富太郎博士を喜ばせたカキツバタがあちらこちらの湿原で開花する。
桑原良敏著西中国山地によれば、カキツバタの群生地は、
昭和12年にアヤメ池湿原として広島県天然記念物に指定されたが、
いつのまにか湿原はつぶされ、昭和50年に指定が解除されたそうである。
現在、自生するカキツバタは、散在する湿原にわずかに見られるだけであるが、
カキツバタの里づくり実行委員会の活動により2万株、20万本が休耕地を利用して植えている。



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